用語集
あ
アクチュアリー
年金、生命保険、損害保険等の年金数理、保険数理の専門家のこと。わが国には、日本年金数理人会のほかに日本アクチュアリー会がある。
育児休暇制度
育児休暇制度は子女を出産した従業員(母親)またはその配偶者(父)が、出産後、育児のために長期休暇を取ることを企業が認める制度である。
わが国では、女子従業員の採用や定着を促進するため、企業が任意に実施しており、「育児休業に関する法律(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)」が平成3年5月に成立し、平成4年1月から施行されたことから、現在では、この法律で規定された育児休業に加えて、各事業主が法定外福利厚生制度として任意に行っている。
なお、産前産後の休業については、労働基準法第65条において、事業主に対して、労働者(女性のみ)について、産前6週間(多胎妊娠の場合には14週間)、産後8週間(産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障がないと認め場合を除く)を就業禁止義務を規定し、休業を確保している。
また、産前産後の所得保障については、健康保険法第102条において、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、一日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する金額を支給することとなっている。
【関連法令】
労働基準法第65条
健康保険法第102条
育児休業
(根拠法:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」法第5条~第10条)
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」によって、1歳未満の子(一定の要件に該当する場合には1歳から1歳6か月に達するまでの子)を養育している労働者(男女問わず一定の要件を満たすことが必要)が、事業主に申し出ることにより、子の養育のために取得できる休業である。
なお、育児休業中および育児休業後に従前の職場に復帰した際の所得保障については、雇用保険法によって、「育児休業基本給付金」(法第61条の4)および、「育児休業者職場復帰給付金」(法第61条の5)によって保障される仕組みとなっている。
遺児育英年金制度
従業員が在職中に死亡した時に、従業員により扶養されていた子供が小学校、中学校の義務教育又は高等学校に在学している場合や、死亡後在学するに至った時に、学費(生活費に当てられる場合もある)の一部に当てるため、継続的に繰り返し、援助する制度である。
仮に、死亡従業員の配偶者が従業員死亡時点で妊娠していた場合は、出生後、小学校に入学した時点から遺児育英年金の受給資格が付与されることになる。
遺児年金制度
従業員が在職中に死亡した時に、従業員により扶養されていた未成年の子供がいた場合、その子供に対し一定期間(例えば10年間、ただし10年以内でも義務教育あるいは高等学校卒業時点で支給打ち切り)、その生活費や学費の一部に当てるため継続的に繰り返し、生活費を援助する制度である。
仮に、死亡従業員の配偶者が従業員死亡時点で妊娠していた場合は、出生と同時に遺児年金の受給資格が付与されることになる。
遺族年金制度
従業員が在職中に死亡した場合に、その遺族(配偶者又は従業員に扶養されていた遺族)の生活の安定を支援するため、生活支援金を一定期間にわたって継続的に繰り返し、援助する制度である。
一般貸付(融資)制度
(持家支援を除く)
一般貸付(融資)制度(以下「一般貸付」という)は、従業員または家族の慶弔災害傷病等のために費用を必要とする従業員に対し、その資金を簡単な手続きで貸付け、家計の安定を図るための制度をいう(住宅購入資金のような大口の貸付は一般貸付制度の対象にしないのが普通である)。
一般貸付(融資)制度は、緊急生活融資制度や少額融資制度とも呼ばれているが、かつては賃金・給与の前借制度の色彩が強い例もあった。しかし、最近では耐久性消費財を購入したり、自己啓発を行うなど、従業員が計画的に生活内容の充実を図るための費用支援施策として、共済会等を通じて提携金融機関のローンを利用させたり、企業が利子補給をする例もある。
貸付額は所定内賃金や基本給の2倍から3倍程度、金額的には30万円~ 100万円程度を限度とし、返済期間は賃金・給与の10%以内で1年~2年とする例が一般的である。
融資対象は結婚、出産、子女入学・在学、葬祭、傷病、災害、盗難、住宅小補修などのために必要な費用の一部を補填するのが普通であるが、自動車購入、旅行、電化製品購入、家具購入等に代表されるような生活内容を充実するための計画的出費等も対象とする例が生まれている。
永年勤続表彰制度
「永年勤続表彰制度」は、企業に長年勤続している従業員に対し、その労をねぎらい、感謝の意味を込めて表彰する制度であることと同時に、勤続年数の節目ごとに従業員とその家族に感謝の意を伝えることで、企業に対する好意を醸成し、従業員の活力の育成・保持を支援する制度でもある。
この制度で、従業員本人に対するイベントとしては、主に下記のようなものがある。勤続年数の長さに応じ記念品や旅行クーポン等の贈呈
観劇会への招待
本社に集めて企業トップとの会食
その席でトップが感謝の言葉を贈るといったセレモニー
日本では永年勤続表彰制度を終身雇用制や年功序列型処遇制度と結びつけて論ずる傾向があるが、欧米の企業でも広く行われているごく普通の制度であり、日本の企業に特有制度ではない。
現在、この制度を実施している企業では、勤続年数10年、15年、20年、25年、30年のいずれかを組み合わせて、 5年ないし10年毎に表彰行事を行っているのが普通である。また、表彰の方法としては、勤続年数に応じ、旅行クーポン券、食事券、記念品などを本人はもちろん配偶者も対象に支給したり、勤続年数が25年とか30年になると1週間から2週間程度の特別有給休暇と金一封(所得税の対象になる)を付与する例もある。
OB会
「OB会」とは、一定年数以上勤続して定年またはそれに準じた退職者を構成員として組織された団体の総称である。
その目的は、同じ企業に勤務した者が退職後も親睦を図ることに重点が置かれており、主な事業活動として企業の福利厚生施設等の利用や、会報・社内報の配布、相互扶助(慶弔金や見舞金の給付、医療費共済など)等を行っている例が多い。
また、OB会運営のための事業費は、会員からの会費(退職時に終身会費として一括徴収する例もある。中には、定年前の10年間に計画的に会費を積み立てたり、60歳満期の団体養老保険に加入しておき、満期保険金の一部を充当する例ももある)と企業からの補助金ならびに事務費補助などで賄われ、事務局の運営は厚生課や総務課等が担当したり、OB会事務局を独立(OB室の設置など)させている例も見られる。
OB会は会員の会費を主体に活動している「役員OB会」、「職種OB会」、「部課別OB会」、「事業所別OB会」などもあるが、中途退職女子従業員を対象としたOG会 (企業の補助もある)、企業年金受給者の会、同一企業グループOB会など、親睦を目的としたものもある。
高齢社会への進展を踏まえた「生涯総合福祉」の一環としてOB会を新規設立や充実を検討する企業があるが、その一方で、終身雇用制度の変容や、退職後もOB会のなかで上下関係が維持されていることに不満を持つ者がいることを理由に、既存のOB会のあり方を見直す例も見られる。また個別企業の枠を超えた横断的地域OB活動支援事業も展開されている。
か
介護休業
(根拠法:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第11条~第16条)
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」によって、労働者(男女問わず)の要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害によって2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族(配偶者、父母、配偶者の父母ならびに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫)1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回通算93日(約3ヶ月)を限度として、事業主に申し出ることによって取得できる休業である。
なお、介護休業中の所得保障については、雇用保険法の「介護休業給付金」(法第61条の7)によって保障される仕組みとなっている。
確定拠出年金
(根拠法:確定拠出年金法)
「確定拠出年金」とは、平成13年10月に施行された「確定拠出年金法」に基づき、法律で規定された掛金限度額の範囲で、加入者が複数の金融商品の中から自主的に金融商品を選択して資産運用を行い、原資と運用収益をもとに、一定年齢に達した場合に年金を給付する制度である。
「確定拠出年金法」においては、「企業型」(実施主体である事業主のみが掛金を拠出する)と、「個人型」(国民年金基金連合会を実施主体として個人加入者が掛金を拠出する)の2種類がある。
過去勤務債務
年金制度が新たに発足したとき、もし過去からその制度が存在していたならば、年金の受給権の取得、年金額の計算の基礎となっていたと考えられる過去の期間がある場合に、これを過去勤務期間という。この場合には、制度発足から債務が発生することになる。これを過去勤務債務という。
カフェテリアプラン
「カフェテリアプラン」は、従業員が、事業主より配分された従業員1人当たりの法定外福利費配分額の範囲内で予め社内規程で定められた複数の法定外福利厚生施策(メニュー)の中から、自由に施策を選択して活用できる制度である。
企業内共済会制度や外部委託制度と並んで、法定外福利厚生制度の運営方法の一つである。
なお、わが国にはカフェテリアプランを対象とした税制上の措置はなく、優遇措置についても法人税法や所得税法においては認められていない。
そこで、事業主が制度化したカフェテリアプランの選択メニューのポイントを従業員が消化した場合には、給付やサービスを受けるごとに、従業員に所得税が課税されるか否かを判断する。すなわち、所得税法第9条(非課税所得)の規定および通達に示されている旅費、通勤費、現物給与、学資金、保険金などや、所得税法第36条(収入金額)の規定および通達に示されている給与等に係る経済的利益や給与等とされる経済的利益の評価など、福利厚生に関する税制上の取扱いが準用されている。
【関連情報】
・財団法人大蔵財務協会発行『「国税速報」平成7年11月13日第4800号』
~カフェテリアプランの税務上の取扱いについて~
・カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/36.htm
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/36.htm
・カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/37.htm
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/37.htm
・カフェテリアプランによる医療費等の補助を受けた場合(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/38.htm
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/38.htm
企業内購買施設
職場内に一般市価よりも安い価格で日用雑貨用品や家庭電気機器などを購入できる店舗を設け、従業員の便宜を図るもので、かつては代表的な福利厚生施設の一つとされていたが、次第に魅力が薄れてきている。
企業年金
退職年金とも呼ばれ、一定期間以上勤続した従業員が年金支給開始年齢(例えば60歳)に達した場合に、企業が規定にもとづき支給する年金のことをいい、主として高齢退職従業員の生活費の一部をカバーして経済的に安定・充実した生活を支援するために制度化されている。
給付現価
年金制度において、年金受給者に支払う年金の合計額を給付費というが、年金の財政問題を検討ば場合に、将来発生する給付費の総額を把握しなければならないことがある。このとき、今後の給付費の予想額を年次別に推計し、この額からあらかじめ予想される利息相当額を差し引いて合算し、現在の時点における一時金に換算することがある。このようにして求めた値を給付現価という。
教育訓練給付金
(根拠法:「雇用保険法」法第60条の2~第60条の3条)
「教育訓練給付」は、雇用保険法における失業等給付の事業の一つで、自己啓発や職業能力開発のための講座(厚生労働大臣が指定した「労働大臣指定教育訓練講座」)を受講し、それを修了した場合に、教育訓練施設に支払った教育訓練経費(教育訓練の受講に必要な入学料及び受講料)の一定割合に相当する額(上限あり)を支給する公的助成制度である。
この制度は、平年10年(1998年)12月1日に創設され、今日までに3回の改正を経ており、昨年10月の改正では、「教育訓練給付金」の支給要件となる雇用保険の被保険者期間が従来より短期となり、この点では改善したが、その一方で、教育訓練修了者に支給される給付金の額が引き下げられた。
【関連情報】
教育資金貸付制度
従業員の子どもが高等学校、短大、大学、専門学校等に進学するため必要な受験料、入学金、授業料や在学中の学費等の負担が家計を圧迫するのを防ぐために、利息を低くし、在学期間中は返済を据え置くなどの負担軽減措置を組み合わせた融資制度のこと。
企業内共済会(共済会)
「企業内共済会」は、主として常勤の従業員を構成員(会員)とし、賃金の中から毎月拠出される会費と、企業が定期的に負担する会費と同額、あるいは会費をやや上回る補助金を事業活動の主な財源に、従業員の福利厚生(慶弔災害見舞金等の給付)・親睦のための事業活動を行う従業員主体または労使協同運営の相互扶助団体をいう。
企業内共済会は労使で任意に設立をすることはできるが、設立にあたっては、税法、民法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、保険業法、などを十分に把握することに留意が必要である。
【関連情報】
・保険業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(案)、保険業法施行令の一部を改正する政令(案)及び保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)等の公表(少額短期保険業関係)に対するパブリックコメントの結果について(金融庁)
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/hoken/20060309-1.pdf
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/hoken/20060309-1.pdf
共済組合
法律に基づく、「共済組合」とは、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、農林漁業団体職員共済組合法の各法律に基づいて、組合員およびその家族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務員等の職務の能率的運営、農林漁業団体の事業の円滑な運営などに資することを目的に、短期給付(健康保険法による給付の代行事業)、長期給付(年金保険給付事業)、ならびに福祉事業(福利厚生事業)を一括して運営する組織をいう。
教育訓練給付金制度
(根拠法:雇用保険法第60条の2)
「教育訓練給付金制度」は、雇用保険の被保険者期間3年以上の被保険者期間(当分の間、初回に限り「1年以上」が必要)を有する一般被保険者または一定要件を満たした離職者(一般被保険者であった者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し、修了した場合に、教育訓練の講座を提供する施設(指定教育訓練実施者)に支払った教育訓練経費(入学料および受講料の最大1年分)の一定割合(給付限度額20%)に相当する額 (上限10万円)が支給される制度である。この制度は平年10年12月1日からスタートし、制度運用の原資は雇用保険の財源から捻出している。
継続療養の給付
1年以上継続して健康保険組合や当時の政府管掌健康保険(現協会けんぽ)などの被保険者(強制被保険者)であった従業員が、在職中からのケガが治らないまま退職した場合に、医療保険によって診療を受けていた日から5年間を限度として、保険料を納付せずに、引き続き療養を受けられる健康保険に規定されていた制度である。
s この制度は、2003年4月に廃止された。
慶弔金制度
従業員およびその家族に、慶び事や葬祭事が生じた場合、企業(雇用主)や共済会が社会的慣行として儀礼的に、就業規則または労働協約に関連した広義の労働条件の一つとして、または、福利厚生施策の一環として慶弔金規程に基づき祝金や弔慰金等を支給する制度である。
健診と検診
健診と検診 企業や健康保険組合が定期的に、あるいは特別に実施している健康診断では「健診(Healthexamination)」「検診(Screening fordisease)」の二つの言葉が用いられているが、その意味の違いは、「健診」は、健康の確認あるいは健康の程度を知るために行う基本的健康診査を指し、「検診」は自覚症状のない集団の人々を対象としてある特定の疾患を見つけ出すために行う診査を指す。
後期高齢者支援金
(根拠法:「高齢者の医療の確保に関する法律」法第118条~第124条)
「後期高齢者支援金」は、75歳以上(広域連合に認定を受けた障害の状態にある65歳以上75歳未満のものも含む)を対象とした後期高齢者医療制度の財源(患者負担分を除く)を構成するものとして、各医療保険者における加入者総数(被用者保険であれば、被保険者と被扶養者の総数)に応じて厚生労働省より示される加入者1人当たりの負担額(平成20年度は38,227円)を納付するものである。すなわち、被用者保険においては、被保険者と被扶養者の総数が多いほど相応の負担となる。
したがって、この後期高齢者支援金の負担については、それを適正な負担とするための仕組みとして、この支援金の仕組みに「生活習慣病対策の評価部分(加算・減算部分)」を設け、各医療保険者が計画目標にもとづいて、特定健康診査等の実施と生活習慣病対策の達成状況により最大10%の範囲で負担額の加算や減算が行われるインセンティブがある(2013年度の納付分から適用となる)。
すなわち、予防の各医療保険者が特定健康診査等によって取り組んだ結果が高齢期の疾病の発生の適正化に結びつくといった概念に基づく、各医療保険者への報奨といえる。
なお、この支援金は本年4月から新たに設けられたもので、前期高齢者納付金と同様に、納付は概算額と確定額とを2年間で精算することとなっている。
【関連情報】
さ
財形制度
(根拠法:勤労者財産形成促進法)
「勤労者財産形成促進法」に基づいて、自主的かつ計画的に財産を形成する努力をしている勤労者(労働者=従業員)に対し、「勤労者財産形成促進法」に基づき国と企業と金融機関とが連携して財産形成を支援する制度である。
財形制度は、従業員自身が財産形成に継続的に取り組むことを前提としており、そのために計画的にその財源を貯蓄させる「財形貯蓄制度」が基礎となっている。「財形貯蓄制度」は、「一般財形貯蓄」、「住宅財形貯蓄」、「年金財形貯蓄」の3種類が設けられている。
【関連情報】
財形年金貯蓄制度
財形年金貯蓄制度は、「勤労者財産形成促進法第6条2項」に基づき、55歳未満の従業員に、5年以上の期間にわたりその者が予め申し出た貯蓄額を賃金・給与(課税後給与)から事業主が天引きをし、金融機関等の従業員個々人の財形年金貯蓄口座に定期に継続して積み立を行い、個人年金の受給に必要な財源を有利に蓄積させる制度である。
単的に言えば、従業員の老後の生活資金としての年金原資を在職中に賃金から控除して計画的に貯蓄させ、その者の自助努力に対して事業主が便宜を図った場合に、国も税法上(所得税法上)の措置によって支援を行う従業員主体の目的貯蓄である。
この制度は、60歳以降に5年以上20年以内の範囲で受給が可能であり、基本的には一時金による受給はない。なお、主なメリットとしては下記のような点があげられる。預貯金限度額は、財形住宅貯蓄と合算して元利合計 550万円までで(生命保険商品は払い込み保険料総額で385万円が限度。そこで生命保険商品を利用した場合は、限度額一杯になっても165万円を限度に住宅財形貯蓄が可能)、それら利子所得に対しては非課税措置の恩典がある。
定年退職後も、財形年金貯蓄契約に基づく財形年金の支払いが終るまで非課税措置が 継続して適用される(但し、財形貯蓄の非課税措置は在職中に限られている)。
退職後6か月以内に他の企業に再就職した場合、転職先の企業で従前の企業と同一金 融機関の本支店で財形貯蓄契約が可能な場合には、継続して非課税措置が受けられる。 一方デメリットとしては、契約が1つの金融機関に限られていたり、財形年金貯蓄を年金以外の目的で引き出した場合、引き出し日の前5年以内の利子軽減分相当額の税額が追徴される(但し、大幅な金利上昇のため財形年金貯蓄の据置期間中に非課税限度額を超える場合の利子などの払い出しは認められている)といった点があげられる。
なお、事業主が従業員の財産形成の支援を強化する場合には労使の合意を得て、「勤労者財産形成給付金制度(金融機関を通じて7年間を1単位として7年ごとに元利合計を従業員に給付する制度)」が導入できる。この際に、事業主の拠出金は従業員1人につき年10万円まで損金(個人事業主は必要経費)処理が可能であったり、適格年金や調整年金と同様に特別法人税の適用が受けられる。また、この制度を導入した中小企業には国から財政助成金が支給されるなどといった事業主側の恩典がある。
このように、財形年金貯蓄制度はわが国唯一の確定拠出型年金といえる。
私傷病の欠勤・休職制度
この制度には、大きく分けて、「休業中の所得補償(欠勤・休業期間中の賃金・給与の支払いを継続するか、さもなくば共済会等で社会保障の給付金に上積みした補填を行うこと)」と「身分保障(欠勤・休業期間中も企業との雇用契約を継続すること)」とがある。
次世代育成支援対策推進法
「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号)は平成15年7月16日から施行された法律で、次の時代を担う子どもが健やかに誕生し、育成される環境を整備するために、国や地方公共団体が講じる施策(例えば、保育所の整備など)、および事業主が行う雇用環境の整備(例えば、仕事と子育ての両立が可能な就労時間の配慮や、育児・介護休業法の法定を上回る育児休業)など、各者の役割を明確にし、各者が一体となって推進することなどを定めた10年間(平成27年3月31日まで有効)の時限立法である。
この法律に基づいて、事業主が従業員の子育て支援のための「一般事業主行動計画」を策定および実施し、その実施結果について一定の要件を満たした場合には、厚生労働大臣の認定および認定マーク(くるみん)を受けることができます。
児童手当制度
この制度は、児童手当法の「児童(18歳の誕生日到達年度末)」を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成および資質の向上に資すること(法第一条)」といった目的に基づいて、社会的に児童養育費の一部を負担して家計負担を軽減する機能を兼ね備えながら児童育成の質的向上を目指す児童福祉施策である。
社会保険の使用者負担
この制度は、従業員の賃金・給与の中に占める社会保険料の負担割合を軽減し、可処分所得の割合を高め、生活水準の実質的向上を図るものである。
現在、社会保険料の労使の負担割合は、健康保険料(健康保険組合は事業主の負担割合が高いケースが多い)、厚生年金保険料並びに雇用保険の失業給付部分について、それぞれ労使折半が原則となっている。これに対し、労働組合が社会保険料、とくに健康保険の保険料の労使負担割合を労働者:使用者=3:7へと変更させることを春闘の運動方針に組み込んで団体交渉をしたことが効果を生み、中小企業でも広がり始めた。
まず、健康保険制度における保険者(運営主体)は協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)と組合管掌健康保険とがある。健康保険法で保険料は事業主と被保険者が標準報酬月額を基準にして折半(50:50)負担とすることが規定で明確になっている。しかし、その一方で、組合管掌健康保険の場合は使用者側の負担率を高くしている例が多い。これは、第162条(健康保険組合の保険料の負担割合の特例)において、組合会で議決され監督庁の認可が得られれば、使用者側の負担割合を増やすことが認められており、現在は平均して使用者6対被保険者4ぐらいの割合になっている。
つぎに厚生年金保険では、厚生年金基金を設立していない企業の被保険者は、厚生年金保険法で使用者と被保険者が折半(50:50)負担にするよう規定されている。しかし、厚生年金基金を設立している企業の場合は企業年金相当部分と調整するため、使用者側の負担割合が高くなっている。 さらに、雇用保険は失業等給付部分と雇用二事業部分の二つの柱で構成されているが、失業等給付部分は使用者側と被保険者側と労使(50:50)折半で負担し、雇用二事業部分は全額、使用者負担となっている。労働者災害補償保険は全額、使用者負担である。
なお、雇用保険は労働者災害補償保険を含め、労働省が管轄しているので「労働保険」といい、厚生省が管轄している健康保険、厚生年金保険を「社会保険」と呼んで区別しているが、社会保険と労働保険を包括して「社会保険」と呼ぶことが多い。
【関連法令】
健康保険法第162条
社内預金制度
社内預金制度は、従業員の貯蓄金を従業員から委託を受けてを企業が管理する制度で、労働基準法第18条(強制貯蓄)に規定された手続きを踏むことを条件として、「出資等の取り締まりに関する法律」に抵触せず企業は預貯金業務を行うことが特別に認められているものである。 この制度は、従業員の生活安定、貯蓄心の涵養に役立ち、従業員の企業への信頼感を持たせ、企業意識を増大させるととともに、労使協調に役立つという労務管理上の効果が期待できる。また、経営運転資金として活用が可能であったり、賃金・給与から自動的に貯蓄が行えたり、手軽に払い戻しができるなどの便利さあり、広く福利厚生制度のひとつとして導入されてきた。 しかし、企業倒産等により社内預金の支払いができなくなるのを防ぐため、「賃金の支払いの確保等に関する法律」で規定されている社内預金の保全措置を講ずることが義務づけられたり、財形貯蓄制度との競合、社内預金事務コストの合理化、社内預金の上限規制等が強化されるにつれて、社内預金に対する魅力は企業にも従業員に次第になくなりつつある。 なお、社内預金は企業や従業員にとって次第にその魅力を失いつつある。その理由を整理すると次の通りである。普通預金のように出し入れ自由なので社内預金事務処理の費用が高くつく。
社内預金の保全措置が強化されたため、運用資金として活用のうまみが減退している。
財形貯蓄に財形給付金を組み合わせると社内預金より利回りが高くなる。
社内預金制度は労使協定で設けられているので簡単に廃止ができない。
利率の下限規制であった年6%は切り下げられたが、銀行の普通預金を上回るため企業の負担が大きい。
このように社内預金が減少する中で、住宅預金や定期預金などは財形貯蓄商品に移行する傾向にある。なお、つい最近までは、社内預金を普通預金として残している例はあった。これは年6%以上の利率という昭和後期から平成前期のバブル好景気時代の高利率を背景に、財布代わりとしての利用価値を求めるものであったが、通達によって年6%という金利の制約が引き下げられて以来、普通預金としての魅力も次第に失われていった。
なお、下限利率は年0.5%(5厘)となっており(平成21年1月現在)、労使協定で下限利率を下回る利率を定めても無効となる。
【関連法令】
労働基準法第18条
労働基準法第18条第4項の規定に基づき使用者が労働者の預金を受け入れる場合の利率を定める省令第4条
従業員持株会
「従業員持株会」は、従業員が毎月の給与や賞与から一定金額を拠出し、それを原資に、証券会社と事務代行契約を結んだ「持ち株会」を通じて、市場から自社株を一定期日ごとに購入し継続的に運用する制度である。
これに対して、会社は従業員に購入資金の給与控除や奨励金の支援を行う。
なお、発行株式の多くを特定株主が所有している企業や、株式売買数が非常に少ない企業、あるいは、持ち株会を設立することによって株価などが変動するようようようことが想定される企業では、この制度の導入は適さない。
【関連情報】
住宅(資金)融資制度
「住宅(資金)融資制度」は、従業員の持ち家促進策の中で持ち家取得自己資金の不足分をカバーすることを目的として制度化されたものである。
したがって融資を受ける従業員の立場からは、どのような資格があれば、どの程度の融資でどの位の利率と返済期間で融資が受けられるのか、さらには融資金に対する返済保証や担保の条件がどうなっているかという点が最大の関心事である。
なお、公的融資制度等との組み合わせをどの程度考慮に入れなければならないかは、住宅(資金)融資制度の枠組みによって基本的に決定されることになる。
現在行なわれている主な企業の住宅(資金)融資制度には、下記ような方法がある。自社の資金を低利で融資する。
財形転貸住宅融資を利用し、雇用促進事業団等から企業が住宅融資の財源を調達して従業員に転貸する。その際、企業が従業員の負担を軽減するため利子補給をするのが普通である。
企業と提携している金融機関などから一般より有利な条件で従業員に住宅ローンを斡旋し、金利負担を軽くするため企業が利子補給する。
生涯学習
生涯学習 一般的に「義務教育を終えた人たちが、義務教育機関や高等教育機関の垣根にとらわれることなく、何時でも、何処でも、自由な意志で、自分に必要と思われる学習を受けられる」場を社会の機能として定着させることが必要だという教育観。
奨学金制度
(企業福祉の一環として制度化されている奨学金制度)
福利厚生の一環として制度化されている「奨学金制度」は、従業員が高校・大学あるいは大学院(夜間コースが多い)及びそれに準じた学校へ企業に勤務しながら通学することを奨励し、加えて、授業料の一部または全部を奨学金として従業員に補助する制度である。
かつて中学卒や高校卒の採用が困難であった時代に、人材確保の手段として制度化されたこともあった。しかし、最近では従業員の中から選抜して企業が指定する学校(専門学校を含む)へ企業が授業料の一部または全部を負担することを条件に、業務命令で通学させるケースも増えている。その典型的なケースとして、海外勤務が決まった従業員を企業が指定する外国語学校へ集中的に通学させ、外国語会話等の研修にさせる例があげられる。
また、学校に行かせることを条件に入社した従業員に奨学金を貸与し、一定期間以上 勤続した場合には貸付金の返還を免除する制度や、従業員の遺児の師弟を対象に奨学金を給付している例もある。共済会では遺児育英年金という形で、授業料等(これに加えてその他の学費や生活費等を含む場合もある)に充当するための費用を義務教育あるいは高校を卒業するまでの期間、継続的に年金形態で給付する企業例もある。
さらに、企業の中には、社会貢献事業の一つとして、奨学資金を交付する公益法人(財団法人)を企業または企業の設立者が基金を寄付して文部省の認可を得て設立し、広く希望者を募り、選考して奨学金を交付している例もある(なお、公益法人の場合は、設立母体の企業の従業員だけに限定して募集し、その中から選定して奨学金を交付することは認められていない)。
傷病手当
(根拠法:雇用保険法第37条)
「傷病手当」とは、雇用保険法に基づく給付で、失業等給付の「基本手当」の受給資格を持っている者が、離職した後、公共職業安定所に出頭して求職の申込みをした後、病気やケガの為に就業することが出来ない日について、その基本手当ての日額に相当する額を、基本手当ての給付日数分を限度として支給する手当である。
なお、この給付の受給資格者が、支給の認定を受けた日について、健康保険の「傷病手当金」、労働基準法の「休業補償」、労働者災害補償保険法の「休業補償給付」(業務上)又は「休業給付」(通勤)、その他これらに相当する給付で(法令の規定に基づく条例又は規約を含む。)により行われる支給が受けられる場合には、所得保障の重複を避けるために、傷病手当は支給されない。
【関連法令】
健康保険法第99条
労働基準法第76条
労働者災害補償保険法第14条および第22条の2
職場給食
「職場給食」は、各事業所で働いている従業員(喫食者。以下「従業員」という)を対象に、事業所内の給食施設で主として昼食を提供する集団給食制度の一種である。
職場で従業員の食生活習慣の改善で大きく貢献する可能性を有しており、職場給食制度の一つとして、社員食堂がある。
社員食堂は、健康増進法施行規則第5条(特定給食施設)で規定されている「継続的に1回100食以上又は1日250食以上の食事を供給する施設」の一種で、例えば、交替制による24時間操業の企業に見られる朝食、夕食、夜食等も供給する方法や、小中堅事業所で見られる弁当供給会社との契約により従業員に継続的に供給する方法なども含まれる。
職場給食施設(調理施設と喫食施設など)は、各企業で広く設置されているが、製造業においては比較的設置率が高い傾向にある。また、非製造業であっても、本社機能の移転や、事業所の統合などを期に、業務遂行上必要性の高い職場給食施設を維持あるいは再構築する例も見られる。
ストックオプション制度
主として役員(雇われ経営者、管理者を含む)が、予め決められた価格(権利行使価格)で自社株を購入し、一定期間後(権利行使禁止期間)に売却できる権利が与えられる制度。
制服
「制服」は企業の顧客(訪問者)に好感を持たせたり、顧客だけでなく従業員相互で担当する職種を識別しやすくしたりために制度化されており、作業能率向上と併せて、生産施設的福利厚生制度の一である。
事務服・作業服、安全靴等の制服など貸与は、職場における安全確保や規律維持等を目的とするものである場合が多い。
事務服・作業服、安全靴等の貸与は、明治時代から企業内福利厚生施策の一つとして実施されてきたが、物資不足の時代は衣服を補う意味もあった。しかし、現在は業務に関連した物品の貸与のひとつとして定着している。
なお、事務服・作業服、安全靴等の着用については、労働基準法第2条第2項をはじめ、労働安全衛生法(同法第4条や第26条)、労働安全衛生規則や鉛中毒予防規則などによって、事業主側の義務、使用者側の義務がそれぞれに規定されているので、その点に留意することが必要である(罰則規定もある)。
前期高齢者納付金
(根拠法:「高齢者の医療の確保に関する法律」法第36条~第46条)
「前期高齢者納付金」は、各医療保険者ごとの前期高齢者(65歳以上75歳未満)の加入率、すなわち、各医療保険者における加入者総数(被用者保険であれば、被保険者と被扶養者の総数)に占める前期高齢者の加入者数の割合に応じて負担するもので、被用者保険との財政調整により地域保険(国民健康保険)の負担を軽減することを目的としている。
この仕組みの特徴は、全医療保険者における前期高齢者の平均加入率をもとに、その平均に達しているか否かで、前期高齢者納付金の負担額が調整される。
したがって、理論的には、前期高齢者の加入率が平均加入率であれば1となり、平均値より低い場合は負担額は重く、平均値より高い場合は負担額が軽くなる仕組みとなっている。すなわち、比較的前期高齢者の加入率が高いとされる市町村の国民健康保険においては、被用者保険よりも負担が軽減される可能性がある。
従来の老人保健拠出金(主に老人医療費拠出金)の負担額の算定に用いられていた仕組みと同様で、納付は概算額と確定額とを2年間で精算することとなっている。
創立記念行事
「創立記念行事」とは、企業の創立日に記念行事を開催して(休日にする場合もある)、役員・従業員が共に創立日を祝い、今後の発展へ向けてより一層の努力意識を高めさせるための行事である。
とくに5年目刻みあるいは10年刻みの節目には盛大な記念式典その他のイベントや社史の刊行等を行ったり、対外的なイメージアップのため、テレビや雑誌などのメディアを通じて新しい事業展開を広告したり、社会貢献事業を行ったり、新規福利厚生施策や総合福祉センターを設けて従業員の士気を高めるなどするケースも増えている。節目の記念事業には、広く社外の関係者や取引先を招待し、感謝の意を表したり、永年にわたりパートナーとして会社を支えてくれたことに対して労をねぎらうため、盛大に式典を行う例が多 い。また従来の福利厚生制度や共済会制度の総見直しを行ったり、労使協同型の福祉ビジョン(プラン)を策し、それに基づき新たな福利厚生の再構築を行うきっかけとする例もある。
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第1号、第2号、第3号被保険者
(根拠法:国民年金法)
「第1号、第2号、第3号被保険者」とは、国民年金制度の被保険者の種類である。
国民年金制度は、原則的に、自営業者、民間サラリーマン、公務員等の区別なく、学生やサラリーマンの被扶養配偶者も含め、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する。
第1号被保険者は、20歳以上60未満の自営業者、農業者、および学生等で厚生年金や共済年金の加入者およびその被扶養配偶者を除く人が該当し、第2号被保険者は、民間サラリーマンや公務員等で、厚生年金の被保険者または共済組合の組合員等が該当する。さらに、第3号被保険者は、第2号被保険者の被扶養者配偶者となっている人で、20歳以上60未満の人が該当する。
【関連情報】
退職金制度
従業員の退職(定年、死亡、任意、解雇など)という事実に対し、事業主が予め定めた規定に基づき給付金を支給する制度である。支給形態には(1)一時金(退職一時金)方式と(2)年金(退職年金)方式がある。
団体定期保険
「団体保険」の一つである。「団体保険」は多人数で構成されている集団を対象に、原則として無審査で1枚の保険証券をもとに一括して契約を締結する生命保険の総称。死亡保障を目的としたものには、「団体定期保険」、「団体信用生命保険」、「心身障害者扶養者生命保険」などがあるが、そのなかでも「団体定期保険」は、企業や団体の福利厚生制度の一環として活用され、原則として事業主を保険契約者とし、従業員を被保険者とする保険期間1年の死亡保険である。
長期障害所得補償保険
損害保険の所得補償保険商品を活用し、企業および個人が契約者となり、従業員や団体構成員もしくは個人を被保険者として、業務上・業務外に関係なく疾病や傷害によって就業不能になった場合に、就労不能前の収入の一定割合を長期間補償する保険のこと。
最近では、団体長期障害所得補償保険(Group Long Term Disability)の頭文字であるGLTDという言葉で、浸透しつつある。
特定健康診査
(根拠法:「高齢者の医療の確保に関する法律」法第20条)
「特定健康診査」は、2006年6月に成立した「高齢者の医療の確保に関する法律(以下、「高齢者医療法」という)」によって、医療保険者に2008年4月から義務づけられた健康診査である。
この健康診査は、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険に加入している40歳~74歳の被保険者(健康保険においては被扶養者を含む)に対して、脳・心臓疾患等に結びつく生活習慣病患者、およびその予備群を抑制することを目的に、メタボリックシンドローム(以下「内臓脂肪症候群」という)の概念に着目し、1年に1回、実施されるものである。
【関連情報】
特定保健指導
(根拠法:「高齢者の医療の確保に関する法律」法第24条)
「特定健康診査」は、2006年6月に成立した「高齢者の医療の確保に関する法律(以下、「高齢者医療法」という)」によって、医療保険者に2008年4月から義務づけられた保健指導である。
これは、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険に加入している40歳~74歳の被保険者(健康保険においては被扶養者を含む)に対して行われる特定健康診査の結果によって、厚生労働省が示した基準をもとに、健康の保持に努める必要があると判断された被保険者などを対象に、毎年度ごとに各保険者ごとに作成した「特定健康診査等実施計画」に基づき実施する保健指導である。
特定保健指導には、「動機付け支援」と「積極的支援」とがあり、各医療保険者ごとに、特定健康診査と併せて生活習慣病対策の達成状況が評価されることにより、「後期高齢者支援金(後期高齢者制度の財源の一部となる負担金)」の負担額の加算や減算が行われる仕組みとなっている(2013年度の納付分から適用となる)。
【関連情報】
特定保健指導
(根拠法:「労働者災害補償保険法」法第26条)
「労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という)」の「特定保健指導」は、労働者が、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に規定する健康診断において、一次健康診断を受け、その結果、脳血管疾患および心臓疾患の発生にかかわる身体の状況(血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、肥満度のすべての検査について)に異常の所見があると診断された際に、労働者の請求により行われる二次健康診断の結果に基づいて、医師または保健師の面接により脳血管疾患および心臓疾患の発生の予防を図るために行われる保健指導である。
この労災保険法の「特定保健指導」は「二次健康診断」と併せて、平成13年4月より「二次健康診断等給付」の一つとして行われるようになった。
その当時、「過労死」等の労災認定件数が増加傾向にあり、その発生を予防することにより労働者の健康を確保することが重要な課題とされたことから、業務上の事由による脳・心臓疾患の発生の予防を目的として「二次健康診断等給付」は創設された。
【関連通達】 ○労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律の施行について(平成12年12月26日 労働省発基第101号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe2.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=SEARCH&SMODE=NORMAL&KEYWORD=%98%4a%93%ad%8e%d2%8d%d0%8a%51%95%e2%8f%9e%95%db%8c%af%81%40%93%c1%92%e8%95%db%8c%92%8e%77%93%b1%81%40%93%f1%8e%9f&EFSNO=6257&FILE=FIRST&POS=0&HITSU=21
な
年金
一定の期間ごとに継続して支払われる金銭を年金と呼ぶ。年金には大きく分けると「年金を受けるものが生きている間だけ支払われる場合」と「特定のものの生死とは関係なく、支払期間だけが決められている場合」の二つの型がある。前者を生命年金といい後者を確定年金という。また、生命年金で特に支払う期間が限られていない場合を終身年金という。
は
被保険者
保険制度では、特定したものに保険事故が発生した場合に、給付が支払われる。この特定したものを被保険者と呼ぶ。被保険者との保険給付の受取人は必ずしも同一人ではない。
ファミリー・フレンドリー制度
「ファミリー・フレンドリー制度」とは、事業主が主体となり、従業員が仕事と育児または介護を両立しながら就労することを可能にし、また、従業員が多様に、しかも柔軟な働き方を選択することを可能にする諸施策で、その内容は、福利厚生はもとより労務管理全般にわたる。主な施策としては、1年を超える長期的な育児休業や、分割取得が可能な介護休業制度、さらには勤務的な配慮(在宅勤務、フレックスタイムからパートタイムへの異動)、ジョブシェアリング(職場の同僚間での仕事の分担)、事業所内託児所、育児・介護サービス利用補助金制度、などがあげられる。
付加給付
健康保険の「付加給付」は、健康保険法で定められて法定給付に、健康保険組合(共済組合を含む)が自主的に、上乗せして支給する制度。上乗せの方法には、「被保険者ならびにその被扶養者が医療機関等の窓口で負担した自己負担分から足切り額を差し引いた差額を被保険者に還元する方法」や「法定給付の給付期間を延長期間して給付する方法」、「定額または法定給付額に定率で上乗せする方法」がある。
福利厚生会社
「福利厚生会社」とは、一般的に次のものをいう。企業が福利厚生の合理化やサービスの充実を図る際に、企業の福利厚生業務をそのまま請負ったり、中小企業が単独で実施できない企業福祉施策を専門的に運営するために設立された会社。
財形転貸融資や財形分譲融資を受けるため事業主が出資して設立し、出資事業主の半数以上が財形制度に加入していることを必要条件とする法人。これは、負担軽減措置を設けない企業で財形貯蓄に加入している従業員が、財形持ち家分譲融資制度を利用したいと思ってもできないことから、このような不利をカバーする一つの方法として「企業主団体」や「福利厚生会社」を通して「財形持ち家分譲融資制度」を利用できる仕組みである。
現在、「福利厚生会社」という言葉を用いる場合には、その多くが前者をさしている。
さて、福利厚生会社が世の中に登場したのは、1960年代後半、母体企業の厚生施設を管理・運営する専門会社を設立する大手企業が現れたことがその始まりと言われている。
もちろんそれ以前にも職域生活協同組合に厚生施設の運営を委託する例などはあったが、今日のように定年退職者の再雇用や、アウト・ソーシング(企業外委託化)による企業経営の合理化を人事・厚生部門のも浸透させようとする動きとして広がり始めたのは1985年以降のことである。
今、福利厚生会社が一層注目されようになったのは、単に人事対策や企業経営の合理化のためだけではなく、社会全体の急速な発展と従業員の生活水準向上による生活ニーズの多様化に対応する手段として活用される点も大きな理由の一つといえる。
伝統的な福利厚生は、労務管理的効果を強調する恩恵的・慈恵的施策として展開されてきた。しかし、今日では、福利厚生施策の内容も、企業からの一方的押し付け型から従業員の自主的な生活選択を前提とした選択型の福利厚生へと大きく転換している。
そこで、企業内だけで福利厚生施策を運営していたのでは、福利厚生の水準や内容の充実が図りにくいため、企業の外にある多様な形態の福利厚生会社(企業外企業福祉施策運営機関)などを組み合わせて運営することの方が、質的に優れ、かつ従業員のニーズにも応えられる福利厚生施策を展開できる点も注目されている。
福利厚生費
国が法律で加入することを企業と従業員に法律で強制している「法定福利施策」と企業が任意あるいは、労働組合・従業員と協議して制度化している「法定外福利施策=企業福祉施策」の維持・管理運営に必要な費用を賄うため、企業が負担する費用の総額をいい、前者を「法定福利費」、後者を「法定外福利費」と呼んでいる。
【関連情報】
不妊治療費補助制度(法定外福利厚生制度)
企業や企業内共済会などで法定外福利厚生施策の一環として行われている「不妊治療費補助制度」は、健康保険の診療の対象とならない「人工授精」、「体外受精」や「顕微授精」を行う従業員の経済的な負担を軽減する制度である。
不妊治療の際の費用補助制度については、各都道府県や指定都市、中核市などにおいて既に「特定不妊治療費助成事業」として実施されているが、この制度は、夫婦合算での所得制限や給付制限などが定められているため、利用出来ない場合もあるため、企業などが従業員に対して独自に法定外福利厚生制度の一つとして「不妊治療費補助制度」を実施している。
特に、一般的に「体外受精」は30万円程度、また「顕微授精」は40万円程度と、1回あたりの平均治療費は高額となる。
そこで、例えば、年間10万円~20万円を補助額の上限とし、通算で2年や5年などの範囲での給付条件を設ける例や、一定期間で最大100万円を限度に給付条件設ける例があり、加えて「特定不妊治療」のために必要な休暇や休職制度を設ける例がみられる。
なお、「特定不妊治療」を受ける際には、診察や体外受精の準備、ならびに夫婦でのカウンセリングのために、従業員が、急に、あるいは一定期間の休暇を必要とすることも少なくないため、制度の導入には、職場上司や同僚の理解も必要となる。
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保険者
保険や年金の事業を行う主体のこと。
保養所
企業や健康保険組合等が、従業員やその家族の心身の疲労回復を低廉な利用料金で提供するため設けている宿泊施設の総称である。
保養所の利用者は特定職域(複数職域の場合もある)の従業員やその家族が主たる対象であるが、最近は利用率の低さをカバーする為、第3者にも開放したり、異なる職域が持つ保養所を相互に開放している例もあるが、最近では、企業や健康保険組合等の直営保養所の保有率も低下する傾向にあり、一方で、外部の宿泊施設や福利厚生を専門とする専門機関との契約による保養所(契約保養所)が増えつつある。
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ホームヘルプ制度
ホームヘルプ制度は、従業員もしくは会員(以下、「従業員」という)の配偶者(家事担当者)が突然の傷病や出産、その他の出来事のため、家事に従事することができない場合に、従業員が企業や共済会(以下、「企業」という)にホームヘルパーの派遣を依頼すると、企業があらかじめ契約している紹介所やホームヘルプ協会(例えば、社団法人日本看護家政紹介事業協会)などから、ホームヘルパー(家事援助者)を従業員の家庭に派遣しし、その従業員に補助金等を給付する制度である。
ま
持ち家借上制度
転勤者の持ち家制度とは、持ち家に居住している従業員が、会社の業務命令に基づく転勤や、海外勤務などが原因で転居せざるを得なくなった場合、企業が直接、またはリロケーション会社を通じてその持ち家を借上げ社宅として利用する制度である。
や
友愛制度
自治体や一部の企業において実施されている制度で、1人暮らし、あるいは夫婦2人暮らし、あるいは病気がちで十分に社会生活を営むことが困難な高齢者を対象に、同一地域内に居住する者が、その家庭を訪問し、各高齢者の健康状態や住環境などの安全確認や孤独感の解消のために、話し相手や相談相手になる制度である。この制度はあくまでもボランティア活動を前提に行われもので、イギリスなどでは早くから実施されている。
役員の福利厚生制度
役員が一般の従業員と異なる点は、会社の経営方針決定に参画し、会社の業務執行に経営者側としての立場で携わるといった点である。そこで、一般の従業員とは異なる特殊な立場にあることから、各企業ではその処遇について一般従業員とは異なる様々な配慮がなされている。
役員の「福利厚生制度」についても、税務処理上の問題として一般従業員であれば福利厚生費として経費処理ができる制度であっても、役員は報酬として扱われる場合もある。ただし、役員といっても、「取締役工場長」や「労働基準法上の労働者」としての要素を含んでいる場合は、税法上、一般の従業員と同じ取り扱いとなる。
なお、役員と一般従業員との取扱に差がある現物給与としては、(1)値引き販売、(2)用役の提供、(3)生保、損保の保険料の負担、(4)社宅の貸与、(5)貸付金の利子、(6)勤労者の持家政策における特別措置などがある。